風土と建築学

 

鈴木 博之

工学博士

東京大学工学部建築学科卒、同大学院終了

1974−75英国留学

1993ハーヴァード大学客員教授

文化財保護審議会専門委員

東京大学教授

受賞 芸術選奨文部大臣新人賞

   サントリー学芸賞

   建築学会論文賞受賞

 

 

チャーチルは第二次世界大戦後、国会議事堂を修理するに当たってこう述べた。
We build buildings,then they build us.
(われわれは建物をつくる、すると建物はわれわれをつくる)
建物と人間はこれまで相互に関係しつづけてきた。ここではそれを風土という概念と結び付けながら考えてみたい。
建築と人間、そして風土は、相互に関連し合うものであろう。
風土とは:中国の言葉 季節の循環に対応する。土地の生命力 2世紀
風:なかに虫という字が入っている 「風動いて虫生ず」(後漢)
土:土地 「風土記」8世紀
西欧語では:Klima(Climate)
角度を意味する:土地によって太陽の角度が異なるところから風土の意味になる。
ヘルダー(Johan von Herder 1744−1803)     精神的風土(Geistes des Klime)
和辻哲郎「風土」(1935)によって人口に膾炙する。
「風土という言葉は、学問にはまるで意味なさない概念」(平凡社百科事典)との説もある。
ここで建築が置かれる風景と風土を対置してみたい。 風景(景観):Landscape それに対して近年、文化的景観(Cultural Landscape)という概念が注目されている。 これは建築と直接かかわる風土といえるのではなかろうか。 風土は自然のみならず、都市のなかにも見出されるものである。 これからの都市は、高度機能都市から複合文化都市へと変わらなければならない。 そこに、あたらしい風土の概念:Cultural Landscape の導入が必要とされるであろう。 それは伝統的な日本の都市にも見出されるものであった。
場所に対する意識
上野の山:江戸・東京の山なみのひとつ
飛鳥山、道灌山、待乳山・・・御殿山:(池田山、島津山、西郷山)
寛永寺と増上寺:東西から北東に抜ける軸線
将軍の霊廟
これらには、見立ての都市設計 連想性の連鎖といった手法が見い出される。不忍池、清水堂、坂本町、弁天堂、さらに考えるならば、そこには日本の建築の伝統的構造が影を投げかけていないであろうか。
「空間」と「場所」:西欧における空間的表現と日本における場所的表現
平面的展開の建築:場所の表現
立体的展開の建築:ファサードの表現