地域づくりと砂防事業

 

 岡本 正男

博士(農学)

昭和46年京都大学農学部林学科卒。

建設省入省、河川局、北陸地方建設局、広島県土木建設部、河川局砂防部部長など歴任。

(社)全国治水砂防協会技術顧問、

(社)砂防学会理事。

 

1 江戸時代以前(〜1600年)

〈水源山林の伐採禁止などの土砂流出防止対策〉

2 江戸時代(16001868年)

〈植林の奨励、砂留工事などの積極的な土砂扞止・流出抑制策〉

      諸国山川の掟(1666) ・堂々川(芦田川水系)の砂留群

3 明治時代(18681912年)

〈近代砂防の展開、事業制度・法制度の整備、技術の発展〉

      内務省の発足(1873) ・直轄砂防事業(1877)補助砂防事業(1881)の開始

      砂防法の制定(1897) ・デ・レーケによる指導(30年間)

4 大正時代(19121926年)

〈オーストリア砂防の導入と渓流砂防への転換〉

      セメントの使用 ・関東大震災(1923

5 昭和初期(19261945年)

〈大不況と砂防発展の努力〉

      農村匡救土木事業(19321934) ・砂防協会の設立(1935、法人化は1940

6 戦後から昭和20年代(19451955年)

〈戦争による山地の荒廃と大災害の頻発と復興〉

      砂防学会の設立(1948) ・砂防計画(1951

7 昭和30年代から50年代(19551975年)

〈土砂災害への対策強化〉

      地すべり等防止法の制定(1958) ・土石流対策と危険渓流調査(1966、足和田村の土石流災害) 
・ 急傾斜地崩壊対策事業の開始(
1967、神戸市・呉市のがけ崩れ災害)と急傾斜地法の制定(1969

8 昭和50年代から68年(19751988年)

〈総合土砂災害対策の展開、海外技術協力の進展、環境問題の顕在化〉

      砂防センター(1975)、砂防フロンティア(1991)、砂防広報センター(1983)の設立 
・ 長崎災害(
1982)、島根災害(1983) ・土砂災害防止月間の開始(1983) 

・ソフト対策の開始 ・インドネシア、ネパールで砂防プロジェクトの開始

9 平成時代(1988年〜)

〈多様な災害と砂防事業、多様な住民ニーズと住民参画、よりソフトな施策への展開と国際交流の活発化、安全と環境のグリーンベルト〉

      雲仙・普賢岳の噴火(1992)、阪神・淡路大震災(1995)、有珠山の噴火(2000) 

・ 土砂災害防止法の制定(2001) ・インタープリベントを日本で開催 
・ 日伊砂防会議(
2000)、日韓砂防会議の開始(2002) ・国際砂防ネットワークの開始(2003