日本文明と土木そして風土

竹内 良夫


樺|内良夫事務所 代表取締役社長


運輸省港湾局長、土木学会会長等を歴任。
現職は、樺|内良夫事務所代表取締役社長の他、関西国際空港褐レ問、
(社)日本港湾協会名誉会員、(社)土木学会名誉会員、
NPO法人カムチャッカ研究会会長、国際港湾交流協力会会長、他。

受賞:天皇杯・銀杯3号(関西国際空港建設に対する受賞)



 この題名は正に私の言わんとするところである。私のテーマは土木学を探ることであり、目標は高い文化の国造りである。21世紀の日本人は日本人らしさを取り戻したい。風土工学の心はまさしく土木学の求めるところと思う。
土木学を求めて:築土経国(山海堂)、土木学を求めて(港湾空港タイムス)、土木学を語るT、U(都市計画通信社)
土木技術:製造業とは違って自然空間に対する技術。自然の脅威から逃れ、守り(防災)、福祉を求めて加工(開発、建設)する。
土木は公である:社会、人間、自然が対象。
自然観とは国土観:地球の無限から有限への意識転換、自然を循環と観じ征服の姿勢から順応への姿勢。
知のパラダイム:生命論パラダイムを重視する。(ホリズム、ホリステック・マネイジメント、全包括的思考、経験、ひらめき、悟り)。とともに従来の要素還元論、機械論的なパラダイム(科学技術を基礎とした土木工学)に習熟する。
土木技術者:civilengineer科学技術、土木工学を研鑽、また現場、技能を重視する。(頭領、職人、経験と鍛錬、マイスター)
土木技術者倫理:(土木学会土木技術者の倫理規定)
風土工学(竹林征三):風土工学は地域の誇り意識を工学手法でとらえる。風土は地域が発展するリズムである。風土工学は地理、歴史、文化、哲学、美学、心理学、認知科学等をコンピューターを利用して土木事業にアプライする方法論
風土性、通い(オギュスタン・ベルク):新しい風土の生まれ、風土は我々の肉体、象徴的な体系を通じて我々の身体に戻り、心に通じる。
日本人のソシオグラマ(竹内靖雄):日本人の行動法式、日本人らしさと風土
風土(和辻哲郎):風土性(オギュスタン・ベルク)、ゲニウスロキ(Geniusloci)、鎮守の杜、風土への思い入れ、愛郷心(ペイトリオット)
日本の風土(国土、気候、歴史):土地の歴史、縄文、弥生、農耕、漁労、津々浦々。農地の開拓、土地への執着、武士の発生、貧困、素朴勤勉、都市の形成、日本文化の醸成、恥の文化、日本人らしさ、外国人が感嘆した日本人、武士道
人間探求の段階説(五十嵐日出夫):土木計画学、風土性、変化のない価値観、風土から生まれる心。
土木計画学(岩井國臣):杜の国、地域造り、国造り、都市造り
信玄と河川(高橋裕):信玄は河川を点ではなく面で考えた。日本人には自然の変化に対応する臨機応変の知恵がある。
100の盆地それぞれに神を発見(薗田稔):鎮守の杜、(ゲニウスロキ)
ホリステック思考(私の経験):数年勉強したが、理解しにくい。
万障に天意を悟るものは幸いなり人類のため、国家のため(青山士)
大河津分水の影響:新潟海岸浸食と観測、旧信濃川河相の変化と農業用水取水排水
関空の鈴蘭湖計画ランドプランニングの話:(米国コンサルタント/シスキンの手法)
関空ターミナル建造の際:匠と技術(レンゾピアノのファザード設計)、漁業交渉、国土ビジョン、土木
20世紀は工業化、都市化、大都市集中、科学の時代、経済効率に重点を置いた
21世紀は脱工業化、脱都市化、地域の時代
 21世紀は日本人の心を取り戻す国土のあり方を考えたい。防災構造国家、sustainable国土、地方造り、地域文化とネットワーク、農山村重視、食糧自給率を高める。風土工学の精神、通い(オギュスタン・ベルグ)。
国際友好と技術協力:発展途上国への技術協力のあり方、総合発展を目指す
近藤誠一(外務省広報文化交流部長)の目指す外交:文化外交、国家目標を文化創造的サービス、日本に残る精神的価値。(道、寺社、カルチャー変化)による文化交流