■講演の報告
「清正の治水事業」
大本 照憲(熊本大学工学部教授・水圏環境学)
・信玄、清正に代表される伝統的河川工法は「漢方薬」
次いで講演を行った大本照憲氏(熊本大学工学部教授)は、清正の治水事業について、土木工学的見地からの検証を行った。「洪水処理に対する近世と近代の比較」と題して、菊池川、白川、緑川および浜戸川における清正の治水遺構の具体例として、阿蘇からの火山灰土砂の堆積を防ぐための「鼻ぐり井手」、暴れ馬(川)を、轡で抑えるという語源からの「轡塘(くつわども)」が現在の治水技術にも充分応用が可能であると語った。
最後に、現代の治水技術が科学的根拠に基づいた「化学薬品」であるのに対して、信玄、清正に代表される伝統的河川工法は「漢方薬」に相当するものであると締めくくった。