■講演の報告
「科学技術と芸術の融合」
沢田 敏男(京都大学名誉教授)
◆理性と感性の融合による新しい文化の創造
21世紀においては、科学技術の進展とともに、芸術文化の振興が盛んになると沢田氏は考える。「科学技術的な理性と芸術的な感性との融合による、新しい文化の創造ということが、より一層重視されてくる」と述べ、ダムや水路のような水利構造物にも、本来具備するべき機能の他に、景観上からも人びとに感動を与えられるような構造物をつくることが望ましいと主張。そのような構造物の事例として、アルプスの大自然に調和したフランスのローズランダム、構造やロケーション等の景観設計に配慮した木曽川の犬山頭首工を紹介。さらに風土工学の考えに沿って景観設計された鳴鹿大堰に関しても言及した。「国の大本は“農”なり。水利は農業の命脈なり」との考えから、「文明が進むにつれて、水の存在がますます重要になる」と強調。今から116年前に開削された琵琶湖疎水に、すでに快適な親水性空間があったと述べた。