風土工学だより74号

日本の治水史四千年の系譜

-都江堰・大久保長安・五郎兵衛用水-

富士常葉大学名誉教授・工学博士 竹林 征三

目 次

まえがき 2    (2)近世の治水技術には 18
Ⅰ.序論 4    (3)河川の基本技術 19
 1.後世に残すべき世界の遺産 4  2.近世の治水の礎を築いた武将たち 21
 2.講演における視座 4    (1)築城の三名人 21
   (1)風土工学の視座 4    (2)西嶋八兵衛 21
   (2)環境防災学の視座 5    (3)武将たちの治水 22
   (3)これまでなかった災害のオンパレード 5  3.近世の治水の展開 29
   (4)風神・雷神の如し 5    (1)富士川の舟運・開削 29
   (5)これまでなかった大地異変も気になる 6    (2)大久保長安の偉業 36
   (6)混迷する現代の河川技術 6    (3)近世の治水に関わる人々と仕組み 41
Ⅱ.古代の治水 7 Ⅳ.近代治水の幕開け 47
 1.古代中国の治水 7  1.近代治水に連なる人々 47
   (1)中国の洪水に纏わる神々 7  2.近代治水の波乱の幕開け  -大河津分水- 50
   (2)中国神話三足烏と虁 7    (1)大河津分水と青山土 50
   (3)禹の治水 8    (2)横田切れと大河津分水 51
 2.古代日本の治水 12    (3)横田切れ被害史 52
   (1)神々の治水 12    (4)先人の治水の心に学ぶ 53
   (2)天皇族の治水 14    (5)風土工学の視座からの大河津分水 54
   (3)信仰・僧侶の治水 15 Ⅴ.市川五郎兵衛とその系譜 55
Ⅲ.近世の治水 18  1.市川五郎兵衛真親と五郎兵衛用水 56
 1.近世の治水を知るための基礎知識 18  2.市川五郎兵衛の系譜 60
   (1)日本の知識人の素養 18 おわりに 63

まえがき

古代中国から「黄河を制するもの天下を制す」の言葉とおり、4,000 年の治水の歴史は失敗と成功の繰り返しでした。
2,300 年前に中国四川省で開発された巨大水利施設「都江堰」の技術は武田信玄に受け継がれ、水害に悩む甲斐の国の人々を災害から守りました。
さらにその治水の心と技は市川五郎兵衛に受け継がれ、五郎兵衛は私財を投じて五郎兵衛用水と新田開発の偉業を成し、佐久の大地に花開かせ、平成 30 年(2018)に五郎兵衛用水は世界かんがい施設遺産登録となりました。
本稿は五郎兵衛用水の世界かんがい施設遺産登録を記念して行った特別講演の資料を加
筆、再構成したものです。

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