NPO代表就任のあいさつ

 令和3年4月17日の当NPOの竹林征三理事長の逝去を受けて、5月の理事会互選によって新しい代表に選ばれた川撫G明です。これまで、事務局と副理事長を兼務していましたので、今後も会員各位のご理解・ご支援を得て、風土工学の継続を図る所存です。
しかし、当NPOにとって、竹林先生の逝去は大きな悲しみであるとともに、先生の独力で築きあげられた当NPOであるだけに、今後のNPO運営は不安のただ中にあります。そうした中、残った者にとっては、先生の遺志を引き継いで、風土工学を後世に残すべく、風土工学活動を継続することが最重要であると考えております。このため、NPO法人としての運営や会誌発行等の活動を何とか維持して「風土工学による社会貢献」のためにNPOの継続と発展を図っていきたいと思います。
なお、竹林先生に関する当NPOの今後予定としては、今秋、風土工学だより9月号において「風土工学の父、竹林征三先生追悼特集号」を出版する予定です。また、コロナ収束後の時期に「偲ぶ会」を開催する計画です。

風土工学デザイン研究所NPO代表 川撫G明
令和3年8月8日

風土工学の理念(記・竹林征三)

 これまでの土木工学は、より利便国土形成に向けて道づくり、鉄道づくり、港づくりに大きな成果を上げ、自然災害に強い安全国土形成に向けて河川改修・砂防事業・海岸事業等々、防災に大きな成果を挙げてきました。しかし、利便国土形成、安全国土形成するという機能の最適化原理が主流となるあまり、土木建設の果たす、地域の風土文化形成機能が忘れ去られてしまっています。その結果、地域作りに大きな役割を果たす土木施設が基準化・標準化されて、日本全国“金太郎飴”になって個性のない町や地域が形成されてきました。今、土木についても地域の風土文化との接点が求められ、土木事業は自然環境との親和のみならず地域の誇りとなり、個性豊かな地域づくりに資する事が求められています。つまり土木事業の個性化を図り、個性的な地域づくりの一端を担う個性化原理の導入が必要なのです。
 人それぞれに個性があるように、地域にも強烈な個性があり、人にプライドがあるように、地域にもプライドがあります。しかし地域の個性やプライドは、隠されている場合が多く、地域のプライドも傷つけられている場合が多いのです。感性を磨き、土木施設の建設するその地の歴史や風土文化をよく調べ、知れば知る程、隠れている地域の個性やプライドを認識でき、地域の個性やプライドの悲痛な叫びに気づきます。
 土木は大地を刻し、風土を改変する仕事であるのです。土木事業を機に地域の誇りうる個性の存在を認め、評価すれば地域の個性は更に磨かれ、地域は発展するのです。
 すなわち、市民がより豊かな文明や文化を享受できるような地域づくりのため、社会に役に立ち、丈夫で長持ちのする「用」と「強」の具備されたものに、更に自然環境との調和の美を追求しようというものが環境工学であり、それらを包含する地域の風土との調和の美を追求しようというのが風土工学なのです。

風土工学デザイン研究所 会長
竹林征三

〈経歴〉
 昭和42年、京都大学土木工学科卒業後、大学院を経て建設省に入省。 建設省入省後、河川・ダム・砂防・道路等の公共事業に従事、建設省退職に当たり、風土文化と調和する誇りうる地域づくりの方法論として文理シナジーの独創的な風土工学理論を構築し、母校より工学博士号が授与された。風土工学の構築に関しては、科学技術庁長官賞や、土木・建築部門の最優秀博士論文賞として前田工学賞の受賞等の評価を得た。 建設省退職後は土木研究センター風土工学研究所長を経て、富士常葉大学の設立と共に富士常葉大学教授に就任する一方、全国唯一の大学付属の風土工学研究所を設立し、その後、平成23年大学退職にともない、大学付属研究所の研究を風土工学デザイン研究所に引き継ぎ、風土工学の学理の更なる研磨進展を図ると共に、風土工学の普及・啓発のため、全国各地での各種講演活動を行ってきている。現在は富士常葉大学名誉教授、山口大学大学院理工学研究科講師。
 

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